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矯正治療で歯が動く仕組みは?動かし方や治療期間も解説

2023.07.25

Posted byよなご矯正歯科 院長 永瀬志保

「矯正治療を検討しているけど、本当に歯が動くのかな?」
「歯ぐきに埋まっている歯が矯正治療で動くのは、どんな仕組みなんだろう?」
と、疑問に思ったことはありませんか?

歯は、歯ぐきの下にある顎の骨に埋まっています。矯正治療では人間が持つ生理的な反応を利用することで、骨に埋まっている歯を動かすことが可能です。

この記事では、これから矯正治療を受ける方や検討している方に向けて「矯正治療で歯が動く仕組み」を解説します。
事前に矯正治療の仕組みを知って安心して治療を受けるためにも、ぜひ最後までお読みください。

矯正治療で歯が動く仕組み

かたい顎の骨に埋まっている歯を動かすためには、吸収や再生と呼ばれる歯の代謝を利用します。矯正治療は、私たちの体が持つ性質を利用して、連鎖的に歯を動かしていきます。

力を伝える歯根膜

矯正治療では、歯を動かすための装置を取り付け、歯に一定の力をかけます。その際に力が伝わるのは、歯と歯の間にある「歯根膜」という組織です。歯根膜は歯の根っこを覆うように存在しており、約0.3mm程度の厚みしかありません。
薄い歯根膜ですが、歯のクッションのような役割を持ち、歯にかかる衝撃をやわらげてくれています。この歯根膜が、矯正治療には欠かせないです。

歯根膜の変化

矯正治療の力が伝わった歯根膜は、歯が動く方向側は縮み、反対側は引っ張られるように伸ばされます。歯根膜には厚みを一定に保とうとする性質があり、そのため歯が動くと歯根膜は厚みを保とうして、近くにある骨に変化を起こそうとします。

骨に起こる変化

歯根膜が縮んだ部分は、骨と歯に挟まれて圧迫されている状態です。圧迫された歯根膜は元の厚みに戻るために、スペースを作ろうと骨を溶かす細胞を作り出します。このようにして、歯が動く方向にスペースが生まれることを「吸収」と言います。
歯根膜が元の厚みに戻ろうとする働きが起こるのは、歯が動く側だけではありません。反対側の伸びた歯根膜でも、元の厚みに戻ろうとする動きが起きます。
歯根膜が伸ばされてスペースができた部分には、隙間を埋めようと骨をつくる細胞を作り出すのです。このようにして歯が動いた後のスペースが埋まることを「再生」と言います。

歯根膜が元の厚みに戻る

骨を溶かす細胞と作る細胞の働きによって、歯根膜は元の厚みに戻ります。こういった人間が持つ生理的な反応を繰り返すことで、歯は少しずつ動いていきます。

矯正の種類ごとの歯が動く仕組み

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正とは、ワイヤーを使用した矯正方法です。ワイヤーが元の形に戻ろうとする力やしなりなどを利用する方法で、ブラケットという装置を歯につけてワイヤーを通し、歯に一定の力をかけ歯ならびを整えていきます。
ワイヤー矯正では、治療段階に応じてワイヤーの種類や曲げ方を変えます。こうして少しずつ力をかけて、歯を動かしていきます。

マウスピース矯正

マウスピース矯正は、マウスピースを使用した矯正方法です。段階的に形の違うマウスピースを使って、歯ならびを整えていきます。
マウスピース矯正では、元の歯ならびから少しズレたマウスピースを使用します。このズレによって少しずつ力をかけ、歯を動かしていきます。

矯正治療で歯を動かす方法6種類

矯正治療で歯を動かす6種類の方法を解説します。

  • 水平移動する(歯体移動)
  • 回転移動する(捻転)
  • 引っ張り出す(挺出)
  • 引っ込める(圧下)
  • 歯の頭を起こす(傾斜移動)
  • 歯の根っこを移動する(トルキング)

水平移動する(歯体移動)

歯を水平方向に移動する動かし方です。矯正治療で、最もよくある動かし方です。
歯の頭に、正確で綿密な力をかける必要があります。

回転移動する(捻転)

歯の先と歯の根っこを結んだ軸に沿って歯を回転させる動かし方です。ねじれた歯を、正しい歯ならびや噛み合わせにするために動かします。
中心となる支点に対し、適切な回転力をかける必要があります。

引っ張り出す(挺出)

歯を上に引っ張り出す動かし方です。歯周病で周囲の骨の高さが下がっている場合など、骨の高さを増生したいときにおこなうこともあります。

引っ込める(圧下)

歯ぐきから伸びだしている歯を、骨の中に沈み込ませるように引っ込める動かし方です。引っ込める動かし方は、他の動かし方に比べて難しいとされています。

歯の頭を起こす(傾斜移動)

歯の頭部分を起こす動かし方です。歯の頭に力をかけて、歯の根っこはあまり動かさずに立ち上がらせます。抜けた歯を放置して隣の歯が倒れている場合などに、しばしばおこなわれる方法です。

歯の根っこを移動する(トルキング)

歯の頭は動かさずに、歯の根っこを主に動かす動かし方です。

矯正治療で歯が動くスピード

矯正治療では、矯正装置を使用して継続的に力を加え、少しずつ歯を動かしていきます。具体的な歯が動くスピードは、1ヵ月に0.5mm~1mm程です。

「早く矯正治療を終わらせたいから、強い力で早く動かしたい!」と思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし、歯は強い力をかければ思い通りに動くというわけではありません。むしろ、力をかけすぎることによって、他の歯や骨にダメージを与えるリスクもあります。
たとえば、歯や歯を支える骨がダメージを受けると、歯ぐきが下がって根っこが短くなる可能性があります。他の歯や骨に負担をかけないためには、人間の体が持つ自然なペースで矯正治療をおこなうことが大切です。

なかには「力をかけて動くなら自分でできるかも」と思い、歯を指などで押したりする方もいるかもしれませんが、そのような行為は大変危険ですので絶対にやめましょう。
矯正治療は専門の知識を持った医師が、歯ならびや歯周組織などの状態を検査し、その人に合わせておこないます。自己判断でおこなうと取り返しがつかなくなる可能性もあるので、専門の知識を持った医師のもとで矯正治療はうけましょう。

矯正治療にかかる期間

ワイヤー矯正

上下の歯をワイヤー矯正で治療した場合、平均で2~3年ほど要することが一般的です。
実は、矯正治療は、ブラケットとワイヤーが外れて終わりではありません。ブラケットとワイヤーが外れた後も、歯が元の歯ならびに戻ってしまわないように「リテーナー」と呼ばれる装置で歯ならびを定着させます。この定着させる期間を「保定」と呼びます。
保定はその人の状態によってバラつきはありますが、平均で1~2年ほどかかることが一般的です。

マウスピース矯正

上下の歯をマウスピース矯正で治療した場合、平均で1年半~2年年ほど要することが一般的です。長い時には、それ以上かかることもあります。マウスピース矯正にも保定期間はあり、ワイヤー矯正と同じく1~2年必要な場合が多いです。

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