矯正治療で抜歯が必要となる症例は

「歯並びを治すには抜歯が必要」と言われてお悩みではありませんか？

歯科で行う矯正治療では、歯並びや噛み合わせを整えるために抜歯が必要な症例があります。対象の症例や抜歯を行うメリットを分かりやすくまとめましたので、矯正治療をご検討中の方や他院で抜歯をすすめられた方はぜひご参考ください。

歯を並べるスペースが不足している場合に抜歯が必要

矯正治療では基本的に「歯を並べるためのスペースが不足している場合」に、抜歯が必要です。
抜く歯は4番または5番目がほとんどで、むし歯や治療歴の有無は関係ありません。健康な歯でも対象となるため躊躇する方も少なくありませんが、抜歯をせずに並べてしまうと歯を前に出す必要があり、見栄えが悪くなる場合があります。
では、具体的にどのような症例があてはまるのかをみていきましょう。

全体的にデコボコしている重度の叢生

歯が重なって生えている状態を叢生（そうせい）といいます。八重歯も叢生の一種で、並びきらない犬歯が高い位置にあるケースも少なくありません。
叢生の主な原因はスペース不足であり、顎骨が小さい方や歯が大きい方に多くみられます。
叢生を治すには、歯を並べるためのスペースを確保する必要があり、そのために抜歯が必要です。前歯の一部だけが重なって生えているなど軽度の場合は、抜歯をせずに治せる場合もあります。

重度の出っ歯や受け口

歯列から前歯が前方に出ている状態を上顎の場合であれば出っ歯、下顎の場合は受け口といいます。
ズレが小さければ抜歯をせずに治せる場合もありますが、ズレの大きい重度のケースでは抜歯をしてスペースを作り、前歯を後ろに下げなくてはいけません。
歯と歯の間を少しだけ削ったり、歯列全体を後ろに下げたりなど抜歯をせずにスペースを作る方法はいくつかありますが、適用できるのはズレが小さいケースのみです。

斜めや横向きに生えている親知らず

斜めや横向きに生えている親知らずを残しておくと手前の歯に圧がかかり続けるため、矯正治療でうまく歯が動かなかったり、後戻りを引き起こす可能性もあります。そのため、矯正治療前に親知らずを抜歯するよういわれるケースが少なくありません。

「スペースの確保」以外の矯正治療で抜歯を行うメリット

矯正治療での抜歯は歯を並べるためのスペースの確保が主な目的ですが、得られるメリットはそれだけではありません。
患者様にとってプラスとなる「スペースの確保」以外のメリットをみていきましょう。

噛み合わせを整えやすい

歯科矯正は歯並びだけでなく、噛み合わせを整える治療でもあります。
抜歯が必要なケースであるにもかかわらず、抜歯をせずに無理に並べてしまうと、歯が前に出て全体でバランスよく噛めなくなります。
しっかり噛める状態はお口だけでなく全身の健康にもつながりますので、必要があれば抜歯をして行うようにしましょう。

お顔の印象がよくなる

噛み合わせが崩れていると口周りの筋肉の負担が偏るため、左右非対称の見た目になる場合があります。前歯を前方に出して並べることになるため、治療後に出っ歯や受け口の印象になる可能性もゼロではありません。
抜歯をして矯正治療を行うと歯列を小さくできるため、食べ物が噛みやすくなるだけでなく小顔効果も期待できます。

抜歯が必要な症例の適切な治療法

抜歯が必要な場合は、マウスピース矯正単体で行うことは難しく、一時的にワイヤー矯正を併用して治療をすすめるケースがほとんどです。
ワイヤー矯正の強みは1本1本の歯を思い通りに動かすことができる点であり、高さを保ちながら真横に動かすことも可能です。抜歯をしてできたスペースを早くきれいに埋められるため、マウスピース矯正単体で行うよりも仕上がりが良くなります。部分的にワイヤー矯正用の装置をつけますので、見た目が大きく変わる心配はありません。

治療期間は抜歯が不要なケースより長め

抜歯をしてできたスペースを埋める工程が加わるため、抜歯が不要なケースより治療期間が長くなります。平均で2～3年で、歯を並び終えたあとに行う保定期間も同じくらい必要です。
正確な治療期間や費用は精密検査後に決定しますので、よりくわしく知りたい方はぜひ検査をご検討ください。

矯正治療で抜歯が不要な症例は？

歯が並ぶスペースが十分にある場合は、抜歯は必要ありません。歯並びの種類でいうと、すきっ歯や歯のズレが小さいケースがあてはまります。
叢生や出っ歯、受け口だから抜歯が必要というわけではなく、歯のズレの大きさや親知らずの有無などによって決まるため、まずは検査をして状態を把握することが大切です。

抜歯をして納得のいく美しい歯並びを手に入れよう

健康な歯を失うことは決して良いことではありませんが、歯並びや噛み合わせを整えるには必要な場合もあります。
抜歯をせずに無理に並べると、見た目や噛み合わせが今以上に悪くなる可能性がありますので気をつけましょう。歯を失うというデメリットだけでなくメリットにも目を向けて治療をすすめるかを決めることが大切です。

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